4年近く前にピアノを再開しました。故障だらけで困っていますが、なんとか練習しています。4ヶ月前からバッハの平均律を練習しています。30年ぶり(いや、もっとです)の平均律。録音を重ねても、結局、気にいる録音は取れませんでしたが、最近、自分の弾き方自体が少し改善してきたことを実感しています。
- 親指側の指でしっかり音を出せるようになった。手の形の傾きも変わった。
- すべての声部の音を横につなげて聞こうとするようになった。これは、和音の場合でもそう。和音の響きだけで覚えるのではなく、分解して横のつながりで記憶できるようになってきたので、暗譜がより楽に。
- すべての声部の音がはっきり聞こえるように弾くことが、少しできるようになった。弱い音でも聞こえる音。柔らかいタッチだけではなく、鋭いタッチでノンレガートの弱音。
- 全体として、左手がより働くようになったので、右手への負担が減った。
- はっきり弾くことが必要なので、指の動きがよくなった(打鍵が浅すぎて外すことが減りそう)。
- 強弱やアーティキュレーションの技術も少し上がったと思う。
全部、あたり前のことだけど、平均律が入試などで使われるのも納得です。
しかし、もっと大きいことがあります。それは、自分が本当に弾きたい曲を弾こうとし始めたということです。バッハって、人に受けません。特に平均律なんて、コンクールで弾いても入賞しないでしょう。地味です。
でも、ここ数ヶ月間、いろいろ考えて、自分はどういう風に演奏しているのだろうか、どういう特徴があるのだろう、と悩んだ結果、出た答えの一つが、「多くの人はバッハが好きでないと思われるけど、自分は好きだ」ということ。チェンバロやオルガンも弾いてみたい、ということ。なんとなく「ショパンが好きなんだろう」と思われているけど、自分の気持ちとしては、こういう地味な曲をもっと追求したい、ということです。バッハの平均律は、別にうまく弾ける訳ではないけれども、「自分の気持ちにより素直になってピアノに取り組む」ということの象徴でもあるように思います。