30年ぶりにピアノを再開したアマチュア・アラフィフです。ちょっと前に指の関節炎を発症しましたが、痛みは落ち着いています。指はいずれ変形するはずですが、そうなるとピアノは弾きにくくなるので、一時は凹みました。でもよく考えてみれば、関節炎以外にも、ピアノを弾けなくなる原因はたくさんあるので、関節炎だけを考えて養生するよりは、弾けるうちにたくさん弾いておく、という路線でいきたい、と思い始めているこの頃です。
さて、実は、発表会という話が、ずっとありました。実は、もう、来週です。
先日、手首が痛くなりましたが、その原因は物理的なものもあるけれど、心理的なものも大きいようです。上手に弾きたいというのは、やめ、自分らしく弾こう、と思い始めたら、手首の痛みもかなり引いてきたのです。痛みの感じ方は、ストレスも大きく影響しますね。
で、少しは前向きになった発表会のこと。
候補曲として一番最初に持っていたのは、何ヶ月か前ですが、ソロ曲だと、まずは、ショパンのエチュード Op.10-4(今の不安な時代にぴったり)と黒鍵のエチュード(不安を払拭する明るさ!)でした。その後、関節炎の問題が出たのと、他に弾く人がいるという理由で、立ち消えになりました。でも、これ、2ヶ月前の話です。何ヶ月間か練習していたのに、ああ残念。
次に持っていたのは、ショパンの「舟歌」です。あと2ヶ月しかないのに、もうヤケクソ。ダメとは言われませんでしたが、「やめといたら?」的なニュアンスでした。仕方ないので、昨年練習したショパンの「ソナタ3番の1楽章」を持って行きました。でも、ソナタは、これまで散々見てもらっているのに大して進歩していなかったため、もう飽き飽きという感じでした。
ノクターン8番は、もともと先生から勧められていた曲。すごく好きということではありません。というか、リストの「愛の夢」も好きじゃないし、正直言って、発表会で弾きたいという感じではありませんでした。が、舟歌やソナタに比べればずっと楽な曲なので、「滑り止め」的な位置付けで自分では練習していました。
この曲、家族にも評判悪く、「聞いている人は、脳を休める時間になっちゃうよ。」「この曲嫌いでしょ。こういう曲、弾いたことないんじゃないの。盛り上がるところがない曲だね。プロの演奏も聞いてみたい。ああ、やっぱりいい曲だね」。
こんな感じで、落ち込みまくっていました。
でも、散々に言われて悔しいということもあり、録画をしまくり、たまには他の人の演奏動画も見て、暗譜し、アナリーゼし、、とやっているうちに、少しはマシになってきたのか、昨日は、辛口の子供がわざわざ「良くなった」と言いにきてくれました。
実は、私も、少し進歩を感じていたところでした。それは、響きです。
師匠にもっと激しく弾けと言われて、ゴツゴツと鍵盤を叩いてしまっていたのに気づき、自分の美意識で弾こうと、弾き方を変えたのです。鍵盤をゆっくり打鍵して、ゆっくり離鍵。まあ、1音1音、鐘を鳴らすようにして弾いたのです。
離鍵の最中って、ものすごくいい響きがしますよね。「鍵盤は、押したら最後、音は変わらない」という人がいますが、絶対、違います。コツンと鳴った後の鍵盤の深さで響きは変わる。
それから、この曲、2小節ごとに、フレーズの流れが共通していることを発見したので、まとまりを意識しながら弾くようにしました。
3度や6度のところは、指を立ててはっきり。リズムを明確に。口でタタタ、とリズムを取ってみたり、3倍速くらいにして練習したり。全体としてゆったりと。
バスの小指は、寝かせて、ピアノ全体が鳴るように。
左手の分散和音は、(1個か3個の)和音に置き換え、最後の3拍目を意識して弾く(手を捻らず移動させる)練習。分散和音とはいえ、響きが綺麗に鳴るように、強調する音を変化させて弾いてみました。
そうしたら、師匠はえらく気に入ったらしく、ソナタ3番を予定していたプログラムを変更すると。まあ、ソナタは下手だからもう嫌だったのでしょう。手首の痛みの問題もありますし、結局、ソナタは見てもくれない上での、ほぼ一方的な決定でした。
「芸術の域に達している。」とか、「現代には珍しい、美に対する特殊な感性がある。」などと、謎の褒め方をされ、ソナタは却下されました(しつこいですね)。
ソナタに変えたかったら変えてもいい、とは言われましたが、あと1週間ですから、そうも行かず。
まあ、なんだかんだ、と言いくるめられた気がします。ノクターンの方がずっと易しい曲だから、自分はこのレベルなのね、とちょっとがっかりですが、完成度の高さを目指すのも、たまにはいいかもしれません。録画を見て、1音1音、体の動きをチェックして直していく、というのはいい勉強になります。
それにしても、ソナタと舟歌とノクターンと、同時並行で3曲も暗譜したのは、我ながら素晴らしい。人前ではまだ無理な完成度だけど、暗譜だけは早くなってきました。