関節炎のアマチュア・アラフィフだけど、ショパンのノクターン8番を弾けるか

 へパーデン結節になったばかりの、アラフィフ・アマチュア・ピアノ弾きです。指はだいぶ落ち着いてきたけれども、激しい練習は控えた方がいいかなと思い、ショパンノクターンを練習することにしました。8番、変ニ長調。割と人気の曲だと思います。

 

事前のイメージは、美しく、静かで、うっとりするような優美さ。

激しく打鍵する訳ではないじゃない?指に負担をかけたくない私にも丁度いいのではないか?と思い、練習を始めました。ゆっくりだから、初見みたいな感じで弾いても、まあまあ楽しめる。

鍵盤のどこの位置にもサッと手が届くように、椅子を少し高めに、少し後ろにずらしてみる。

2週間くらいして録画をしたところ、長い音のたびに手首を挙げていることを発見。これやっていると、手首をやられる。

それから、指があまり動いていないことも発見。指が痛むのではないかとの恐怖から、指でなくて手全体をガタガタ動かしてしまっている。指も落ち着いてきたので、もう少ししっかり指も動かすことに。

で、ちょっと早いがレッスンに持っていたところ、もっと激しくと言われてしまった。この曲って、激しい曲だったんだ。歌ではあるけど。関節炎じゃ弾けないよ。

でも、エチュードを少し練習したお陰で、難しいところの練習方法が自分でも思いつくようになったのは嬉しい。

心で弾けと言われた。そんなコメントで弾けるようになったら訳はないよ、と内心思いつつ、しばらくは録画なしで練習してみることにする。録画すると、どうしても、細かいところが気になってしまうから。

で、激しく、心で弾いてみようとしたが、どうもうまくいかない。曲のイメージが違っていたことはわかるのだが、もう妙齢ではないのだから。妙齢でも弾けないけど。

それで、まず、黒鍵だらけの音符をガン見していては弾けるはずもないので、暗譜を始める。この曲始めて1ヶ月くらいかな。1週間頑張って、まあ大体暗譜できた。でも、単純でない和声のところは、すぐ忘れる。自分の音感のなさに呆れながら、和音に直して何度か繰り返す。

少しは良くなったかなと思い、小学生の子供に感想を求めたところ、「聞いてる人、脳を休める時間になっちゃうよ。なんか、縮こまってる。この曲、そういう曲じゃないんじゃないの」。あれあれ、皆、いうことは同じだ。全然、進歩していなかったみたい。

この小学生、読書好きで、いろんな本を紹介してくる。その中に、中田敦彦の「天才の証明」という本があった。これを読まされたのだが、まあ、よくありがちなんだけど、「誰でも何かの才能がある。何かの天才である」という本。

 

そういえば私、ピアノを練習する時、コンクールのチェックポイントのように、耳をすませて、神経を研ぎ澄ませて、集中して、弾いている。実は、リズム感がなく、レガートも不得意だ。だから、結構、この曲は難しい訳である。で、その必死感が、伝わってしまうのだね。

反対に、私の強みは何だろう。そこだけに着目して弾いてみよう。何と言われてもいいではないか。私の強みは、音の綺麗さかな。優美さとか。弱くて小さいけど。繊細。欠点でもあるけど、そこだけを押し出して弾いてみよう。

すると、これまでとは、だいぶ違う音楽になった。練習は、向上するためのものだけど、やはり最終的には自分を受容というか、自分を押し出さないと、音楽じゃないよね。

聴いた人にまた批判されても、次はサッと受け流すことにする。ピアニストになる訳じゃない。ただの、関節炎のアマチュア・アラフィフだ。作曲家に敬意を払いつつも、自分ができることにもっと着目することにしよう。

天才の証明

天才の証明

  • 作者:中田 敦彦
  • 発売日: 2017/11/02
  • メディア: 単行本