ショパンエチュード Op.10-11 両手アルペジオ


Chopin Etude Op 10 No.11 Valentina Lisitsa

ショパンの曲にはたくさんのアルペジオが出てくるけど、これはアルペジオがずっと連なる、とても美しい曲。柔らかく、天上から降ってくるような、ハープのような。

とりあえず楽譜を読んで音は大体覚えたけれども、全然きれいに弾けない。いろんな本に書いてあることを試してもピンと来なかった。いつものように、左手の方がずっと弾きづらいので2ヶ月間程、苦労していたのだが、そうだ、右手を先生にしようと思いついた。で、右手だけの片手練習も遅まきながらやってみる。

右手については、より綺麗に弾きたい、と思って何度もくり返して弾くと、いつの間にか自然と、5の指のメロディーがはっきりしてきた。それに伴い、手の形も変わる。メロディー以外の音は、装飾音のように、本当に軽く、そしてメロディーの5の指のところに手の重さを全て乗せてみる。手の勢いもあるし、小指の指先では弾いているけど、手のひらは小指の上で垂直に、親指は高さ10cまでジャンプ。最終的には、すべてのアルペジオを繋げて弾くから、5の指のたびに止まることはできないけど、響きを聞いて、手の動きと脱力を確認するにはいい練習の気がする。

このままだと5の指を動かさないから、5も動かすために、最後の5だけは、2回ずつ弾く練習を付け加える。

手の甲の下にたくさん空気が入っている感じで、ほんの指先で弾いている、というのが観察結果。

肘でなく手首で、と書いてある本もあるけど、手首だけでは足りない!でも、肩に力を入れて肘を動かすのではなくて、脇の下に空気がある感じ。腕を広げる時はバレリーナの気分で、肩や鎖骨の回りの筋肉がストレッチされるようにすると疲れないみたい。

右手はこれくらいで良さそう。次は左手。左手はメロディーではないし、動きも鈍いし、体の向き的に右手と動きが逆だから、色々違うかも。そこで、やってみたのは、これ。

1.音と鍵盤の位置を覚えるために、とても遅く、ハノンのアルペジオのように弾く。

2.手の動きを覚える。左手のアルペジオは上りな訳だけど、下りに変えて弾いてみる。なぜかというと、さっきの右手の使い方と同じになるように。下りと上りで動きは少し違うけど、でも、基本はよく似ているはずだから、下りの動きを逆にしてみるという視点を持ってみる。

3.素早く指が動くように。手を早く移動させるには、素早く離鍵することが必要だから、軸の指を鍵盤にとどめて、1や5を2回ずつ(スタカートでものすごく)素早く弾く。

4.1や5を遠くまで素早く届かせるために、手を開く練習。軸の指を鍵盤に置いたまま、1や5を遠くの鍵盤まで素早く往復させる。手を開く練習と、手を素早く開きながらも音をきちんと出す練習。

5.2音ずつ繰り返す。トレモロにする。これをすると、その2つの音を弾くために、最も効率の良い、最短距離の、無駄のない動きが身につく気がする。

最後に、左手は、バスの音を出す練習。そのためには、5の指を大きく動かし、打鍵したとたんに次の音にジャンプさせたら、弾きやすくなった。バスの音のところで、手が止まっていたみたい。それと、片手で練習していると、ついつい左手であっても一番上の音を出してしまうのだが、本当はバスを出すべきですよね。

この曲は、全体に柔らかい音だから、手や腕の動きが中心かと思いきや、指をしっかり動かすことで、離鍵が早くなり、腕の移動の時間が生まれて、スムーズに速く弾けるようになるのですね。

それにしても、難しい。この曲の前に、 Op.25-12「大洋」とか、音階アルペジオを先にやった方が良さそうだけど、この曲を練習してから「大洋」とか Op.10-1(右手アルペジオ)を弾くと、弾きやすくなりました。似たような曲を同時に練習するのも、ありかもしれないですね。次回は、 Op.10-1です。