ショパンコンクール1次予選 10月3日午前

ショパンコンクールの1次予選が始まった。自分のメモ書きとして、印象を書きます。最初から最後まできっちりと聞いた訳ではないので、耳に入った部分についてだけです。自分は弾けないのに、よく言います、、ね。

 

 シャンイ・マオ(中国)

一番手なのに、落ち着いた演奏。ノクターン13番は上手だがわざとらしさも。エチュードはミスは少しだが、ピアノのせいか音が少し硬く感じる。幻想曲、きれいだがもう少し変化があってもいいかな。

 

トーマス・マルート(ポーランド

スケルツォ4番を少し聞いただけだが、音がきれいで、きらびやか。印象的な演奏。

 

シモン・ネーリング(ポーランド

どの曲も、とてもショパンらしい演奏で素晴らしいが、特にバラード4番に引き込まれた。曲への深い理解、すばらしいルバート。繰り返し聞きたい名演だ。

 

Viet Trung Nguyen(ポーランドベトナム

ノクターン8番美しい。私もこんなふうにゆったり弾きたい。全体にいい演奏だけど、ネーリングと比較されてしまうと可愛そう。やはり、このレベルまで来ると解釈が一番大事。

 

ゲオルギス・オソキンス(ラトビア

インタビューで「完璧を目指すと詩情がなくなる」と発言していたピアニストだろうか。卓越した訴求力。ヤマハでも自在な音色の変化。低い椅子から独特の弾き方。25-6は少しうるさい感じなのはペダルが深すぎるのか打鍵がきついのか。バラード3番も独特の弾き方だが、思わず聞いてしまう。圧倒的な自信?舞曲も良さそう。

 

イブリン・オズル(米国)

穏やかで夢見るような62−1、軽く流れる10−8。美しくなめらかなせいか、ちょっと眠くなった。

 

カミール・パコレック(ポーランド

美しい、オーソドックスな演奏。目立つミスがいくつか。

 

 

ショパンコンクール 予備予選 7月21日午後

ピアノを弾いているアラフィフのアマチュアです。5年に一度のショパンコンクールポーランドで開催されています。予備予選に出場されている方の演奏について、感想を書いています。同じような曲を、同じピアノ、同じ場、同じ録音で、これだけたくさん聞ける機会は滅多にありません。演奏者による違いだけが、大きくクローズアップされ、大変に勉強になります。


www.youtube.com

感じたことを言葉にすると、自分の演奏について言葉で感想を言っていただいた時にイメージしやすくなります。また、自分の演奏を意識的に変えようとしたり分析する助けにもなると感じます。

トンチンカンや失礼なコメントがないよう気をつけていますが、アマチュアの感想ですのでご容赦ください。

 

今井理子

ノクターン27−2は美しく、革命エチュードは疾走し、曲の特徴を捉えている。驚くべきは、全くミスがないこと。あえていうなら、もう少し音色の幅があってもいいかも。まだまだお若いのに、この落ち着き方もすごい。これからどんどん伸びていかれるのだろう。パス。

 

Sze Yuen Wong(香港)

英国王立音楽院。とろけるようなノクターン。音が美しい上、ルバートのかけ方、アゴーギク(テンポの揺らし方)がものすごくうまい。オクターブのエチュード25−10もすばらしい。木枯らしのエチュードが少し不安定な印象(右の軽いミスタッチが多い。左は付点が甘く少し一本調子かな。でもとて音楽的なピアニストだと思う)。マズルカはタメが少なめで丁寧な弾き方がワルツ的か。バラ4は、ささやくような音で始まり、私は好き。ただもう少し盛り上がりも必要かも。自分もこう弾きがちなので、参考になる。テンポが遅いのか停滞する。ペダルをもう少しうまく使って響かせては? 

 

Victoria Wong(カナダ)

ジュリアード。25−5が個性的。10−8は軽く弾む、立体的で素晴らしい演奏。マズルカと幻想曲は、繊細だけど付点のリズムとか、ルバート、アゴーギクなどを工夫すると良いのではないか。

 

Maciej Wota(ポーランド

ショパン大学。幻想曲からの開始。この曲は長いので最後まで聞かせるのは大変だが、音楽的な演奏。ミスや濁りなど少し不安定か。ちょっと乱れたけどパンチのきいたエチュード。さすがの聴かせるマズルカ、リズム感、繊細さ、力強さいずれも備えてる。

 

Maiqi Wu(中国)

 17歳とは信じられない大人の演奏。ノクターンに音楽性が際立つ。マズルカは歌いすぎか止まり気味。エチュードも素晴らしいが、10ー8は左のリズムが乱れがち。バラード4番は静かに歌う。場面によって左手をもっと出してもいいか。自分に似てる面があり応援したくなる。

 

Yuchong Wu(中国)

王立音楽院、ジュリアード。模範的な演奏で、崩れ気味の箇所はあったが安定感がある。強烈さはないが、リズムも音もバランスも良く、欠けているところが思いつかない。バラード4番も上手い。パス

 

 

ショパンコンクール2021 予備予選 7月14日 3日目午後

再開5年目のアマチュアです。5年に一度のショパンピアノコンクール予備予選


www.youtube.comを全部見て、思ったことを書き留めています。予選をパスされた方が素晴らしいのはもちろんなので、パスされなかった方を中心に応援するつもりで書きたいです。

 

久末航

ベルリン芸術大学マズルカop.50、ノクターン9-3いずれも、美しい音、自然な流れと歌心で、とても好きな演奏。ただ、3曲が比較的な似たような曲想の曲が続いてしまった印象。エチュード10-10は前半わずかに音が重いか。エチュードでも持ち前の歌心(フレージング)が完全に発揮されていればと思う。舟歌も素晴らしいが、もう少し揺らしたり、後半、狂ったようなところがあってもいいかなあ。静かな演奏で派手ではないが、とてもとても音楽性の高いピアニストだと思う。チャット上でもとても評判良かった。コンサートに行ってみたい。

 

Yifan Hou(中国)

ダイナミックで若々しく、抜群のテクニック。マズルカはベタつき粗いが、エチュードは爽快。バラ1はかなり叩きつけており、私には重苦しく感じられる。自信もってスケール大きく演奏できる才能。パス

 

Wei-Ting Hsieh(台湾)

音が割れてしまう。幻想曲は個性的でフレージングについていきにくかったが、ノクターンは良い。マズルカop59も少しくどいが、うまい。エチュードは大変見事な演奏。パス。

 

Yun-Chih Hsu(台湾)

ジュリアード。美しく推進力のある舟歌ノクターンマズルカも、音色が多彩でとても自然な表現力がある。また聞き直したいと思う演奏。エチュードは難曲の10−1、 25-10を選択。自信があったのだと思うが、ミスや崩れた箇所がいくつかあったのが残念。いずれも大変音楽的な演奏。

 

五十嵐薫

桐朋。ペダルがうまい。エチュードもすべて、全くミスがなく抜群の安定感。ノクターンマズルカは手堅い。バラ1も鮮やかなテクニックを披露。パス。

 

井川華

フライブルグ大学。ノクターンは美しく、難曲エチュード10-1もノーミスで見事!あえて言えば、25-5が少し固く中間部はあっさり気味かもしれない。マズルカはちょっと重くワルツっぽい。鍵盤を押さずに上方向に打鍵して音を硬質にする、付点を鋭くしたり短い音符を軽くするなどメリハリつけるといいと思う。幻想曲も停滞感が出ないよう、肘の位置を自由し、後半の高揚感、キラキラ音も出すといいのではないかと思った。素晴らしい技術をお持ちなのに、これ見よがしにひけらかさないところが好感が持てた。

 

Grigoris Ioannou(ギリシャ

英国王立音楽院。木枯らしの左手、すべての音を叩き気味で、硬くはないけど重い音(メインの音を決めて、その他、軽い音をたくさん作ればいいのでは)。ノクターン13番の後半は、大きな手で楽楽と迫力ある演奏。マズルカも音が強め。幻想曲も左手がドシンと。全体にエネルギッシュで、べートーベンとかラフマニノフを素晴らしく熱演されるだろう。目立つミスもないので、ペダルを工夫し、音が洗練されればよりショパンらしくなりそう。

ショパンコンクール2021 予備予選 7月15日 3日目午前

ピアノ好きのアマチュアです。5年に1度のコンクール。すでに結果が出ていますが、以下、とっても個人的な感想です。

 

石田成香

中村紘子のお弟子さんで、ウィーンに留学中とのこと。最初は音が硬いと思ったが、次第にショパンらしい音になっていた。最後のバラード4番が、とても自然な演奏で、違和感を感じるところが一つもなく、なぜか少し涙が溢れ、とても良かった。エチュード10−8をバラードの後ろに持っていけばミスも減っただろうに惜しい。演奏会に行ってみたい。 

 

伊藤順一

慎重な出だし。その後も余裕と落ち着きでプロの音。CDか教科書のよう。何時間も平気で弾き続けられそう。パス

 

Andrei Ivanou(ベラルーシ

モスクワ音楽院ノクターンは美しく、ルバートのかけ方を学びたい。マズルカも大変音楽的かつスラブ的なカラーがよく出ていると思う。リズム感がある。音は少し硬めで、ガンと鳴らすところは鳴らすが、曲にあっており、ホロビッツを思い出す。全体にミスがもったいない。独特の感性と魅力がある。 10-4はペダルをあまり使わず少しフォルテピアノのような雰囲気。幻想曲、通る美しい響きもほしいかな。

 

岩井亜咲

芸大生で、日本育ち。バランスが取れてて、でもダイナミックな演奏。59−3を立体的に弾いている。10−8は難しいのですね。気持ちのこもったバラ4。少し止まり過ぎかもしれないが、情感たっぷりでドラマチック。素晴らしい。引き込まれた。才能ある方。パス

 

San Jittakarn (タイ)

ジュリアード。美しく豊かな響き。 オーソドックスな演奏。肩があがっているのが気になる。ミスもあるけど、音がショパン的。パス

 

チホハン(韓国)

歌ってるけど、リズムがもたれることがある。速い音符や付点を軽くするといいんじゃないかな。体が強いようで、うらやましいが、そんなに叩かなくても。

 

Joo-Yeon KA(韓国)

ジャック・ルヴィエのお弟子さん。優しめの、自然に流れる演奏。ノクターンop27ー2が美しい。音が抜けたりしているが、多彩な音色、柔らかい慈しむような弾き方。エチュード10ー10、木枯らしも少し乱れたが温かい演奏。バラード4番もミスかなりあったが、音楽性を評価されたのだろう。小柄な女性は弾き方が参考になると思う。決して大音量を出している訳ではなく、さりげない歌い方と弱音が美しい。パス。

 

ショパンコンクール予備予選 7月19日 午後

引き続き感想を。ほんのアマチュアの感想なので、トンチンカンだろうと思います。決して真にうけないでくださいね。反田さんとTalon Smithさんがパス。

 

Aristo Sham(香港)

木枯らしが、おどろおどろしさを存分に表しており印象的。バラード3番も、よくある華麗さというより、何か裏にある不気味さとか、不思議な物語性が出ているように思った。

 

Meng-Sheng Shen(台湾)

ジュリアード育ち。ドラマチックな演奏。ドラマチックな曲が3曲続くのは、やはり、ちょっと重い。テクニックが違っていても、同じように聞こえてしまう。マズルカop59やバラード4番も、心を写した演奏。美しいというより、鬱屈したエネルギーや悲劇性をしっかりと感じさせる名演。

 

Talon Smith(米国)

オールソンやケヴィン・ケナーのお弟子さんで、軽めのタッチで柔らかく心地よい音。難局エチュード10−1はかなりミスが多いが、10−11は軽やか。マズルカop59はつぶやくような、内向的で美しい音の演奏。舟歌ケヴィン・ケナーを思い起こさせる、優美でとろけるような演奏で、最後の盛り上がりもうまい。聴きやすい演奏。

 

重森光太郎

派遣コンクールの時と比べて、深みがでた印象。全体にショパンらしい美しい音とリズムの演奏に感じた。大きなミスもなく舟歌も良かったが、まっすぐ突き進まない方がいい場面があったかもしれない。

 

東海林まな

表現されているものに共感。ノクターンショパンの音楽を自分のものにできている。エチュードは、必死感が出てしまった。木枯らしでなく、より抒情的な曲をききたかった。マズルカも自然で聴き続けたいと思える音楽。バラード4番は少しもたれ気味。豊かな響きとか、キラキラ感も加わると、より受けるのかもしれないが、共感している私としては、このままより尖っていってほしい。

 

反田恭平

圧倒的な余裕と落ち着き。とにかくお上手で、ファンに囲まれたコンサート状態。あえて言えば、切迫感、神経質さ、憂いがもう少し欲しいけど、おおらかな感じはこの方の個性と思う。曲の持っていき方とか勉強になるし、美しい。バラード2番のコーダが圧巻。ペダルが全体に重め。

ショパンコンクール予備予選 7月21日午前

いくら聞いてもあきないショパンの演奏。同じ場所で、同じ時に、同じピアノで、同じような曲を、いろんな方が弾いてくださり、それぞれが本当に違っていて。興味がつきない。

全部聞いた訳ではないので、聞いていた範囲で思ったことを書きます。好き勝手言ってごめんなさい。

 

Ziton Wng(中国)

ショパンの内向的な静かな、うちに秘めた感情を表現していると思った。ショパンって、そういうところがある。

 

Zijian Wei(中国)

途中から聞いたが、バラ4、他声的で、メリハリが聞いており、迫力のある演奏。音もきれい。

 

Jackek Wendler(ポーランド

明るく軽いシンプルな演奏。音も、あまり指をくねくね動かさず、手首が高めで、指を丸めて、わりと硬質でまっすぐな音。こういうショパンもあるかもしれないけど、もうちょっと音色の変化もある方が好み。

 

Marcin Wieczorek(ポーランド

キンキン、ガンガンした音。バラ1や革命や、こういう曲が得意なのでしょう。でも、技術は皆さんお持ちなので、予備予選ではマズルカなどの音楽性で差がついているような気がするんだけど。エチュード25−5も魅力的な演奏だけど、硬い音が多い。ノクターンは柔らかい音で始まったが、やはり盛り上がると一直線に進む感じでもうちょっと感情のゆらぎがあってもいいように思う。マズルカは心にしみる演奏。ボブウォッカのお弟子さんなんですね。

ショパン・コンクール予備予選 7月20日午前

今日も、素晴らしい演奏の数々をきくことができた。アマチュアの感想なので、トンチンカンでしたらごめんなさい。

 

アルベルト・フェッロ(イタリア)

プロという感じで、とても安心して聞いていられる。ノクターンなど他声部の弾き分けが見事。少し慣れすぎていて熱が感じにくい面も。

 

Georgijs Osokins (ラトビア

ババヤンのお弟子さんで、ギドン・クレーメルと合わせたことがあるという。いずれも、私好みの音楽家!体の位置は低めで、重心が後ろにある姿勢が新鮮。手を上に上げることがない。比較的ドライな、透明な、でもとろけるような音色で、ホロビッツグレン・グールドを思いおこさせる。黒鍵のエチュードすらオリジナルで、芸術家的な鋭敏さ、才能を感じる。弾き直した箇所や崩れた箇所がいろいろあったように思うが、そんなことは何の問題にもならないだろう。拍手が鳴り止まない。音楽をするために生まれてきたような人が世の中にはいるっていうこと。

 

Szu-Yu Su(台湾)

Osokinsと比較するせいか、重く感じてしまうが、この弾き方の方が一般的だろう。上からリッチに響かせる音。ヤマハということもあるかもしれない。学生さん的、一生懸命さが出ていて微笑ましい。もちろん私の1億倍、お上手である。

 

角野隼斗(Cateen)

ドラマチックな曲が多めのプログラム。まるでリストのように、欠ける所がない方なので、ショパンはどうかな、と思っていたが、大変なプレッシャーを背負っているのだろう、ショパンの苦しみも表現されているように思った。個人的にはペダルがもう少し繊細な方が好みだが、推進力がすごい。こういう弾き方、日本人に多いけど、何でも簡単にできてしまう方なんだろうなと思う。

 

Aleksandra Swigut(ポーランド

音へのこだわり。ヤマハだが豊かで柔らかく、力強さもあり、音色の変化のある演奏。気持ちが入っていて、つい聞いてしまう。舟歌のコーダが切迫感があってとても良い。マズルカも素晴らしい。心から弾いている。最後は情熱的な革命。全体的にたくさんミスはあるけど、関係ないだろう。圧倒的。拍手が止まらず、挨拶にもう一度出てきた!!

 

マルセル・タドコロ(フランス)

バラード1番から始まるが、なにかに追われているようで、とっても粗い。もうちょっと、ゆっくり、味わって弾いた方がいいんだけど、そりゃ、緊張するよね、がんばれ。と思っていたら、マズルカに入ったとたん、どんどん良くなっていく。マズルカから弾けばよかったのに。ノクターンハ短調も、出だしを軽く弾く人が多いが、重苦しさが表現されており、名演だ。エチュードもいい音楽で、才能ある方だけど、ミスと濁りが多すぎたのが残念、、。

 

竹田りこの

パレチニのお弟子さん。とても繊細なノクターン。木枯らしエチュードもフレーズ感がある。アルペジオエチュードはこのコンクールで初めて聞いたが、ゆっくりめでとても優美。マズルカも歌がいっぱいで素晴らしいリズム感。バラ2も情感たっぷり。素晴らし表現力に、拍手鳴り止まず。